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コースの振り返り)The Future of the Multinational Firms

2011年05月02日 07:18

この授業は、タイトルは大げさなのですが、内容としては対外直接投資
(Foreign Direct Investment、略してFDI)を中核に据えたものです。

1. 企業がFDIを行うためにはどのような条件が必要なのか、

2. 進出の形態-Acquisition(買収)、Greenfield(自前でゼロから作る)、
Joint venture(現地の企業と合弁する)- の選択に影響を与える条件とは
どのようなものがあるのか

3. FDIの投資先として2000年以降比率が増えているエマージング
マーケットにはどのような特徴があるのか、また、最近出現してきている
エマージングマーケット発の多国籍企業(例えばTata, Haier, Lenovoなど)
の戦略にはどのような特徴があるのか

4. FDIは、投資先国の経済や企業の生産性にどのようなインパクトを
与えるのか(スピルオーバー)

といったテーマが取り扱われました 。ここでは、1と2のみ、
概要をご紹介します。


基本的には、FDIを行う条件は、①進出先での付加価値送出につながる
強みがある、②進出先に資源や市場、制度などの面で魅力がある、
③活動を内部化することにメリットがある、の3つになります。

①と②は半ば自明ですが、③については多少わかりにくいかもしれません。
たとえば、トヨタを例にとると、①トヨタにはコスト/品質に優れた
自動車を作るケイパビリティがあり、②中国にはこれから中流階級が
続々と増える、という意味で、トヨタのケイパビリティを活かして
中国市場に進出することは、魅力的、と言って良いと思います。

そのときに、トヨタとしては、理屈上は

ア)日本で生産して輸出して、現地の企業に現地で売ってもらう、
イ)現地の企業に技術をライセンスして現地で作って売ってもらう、
ウ)自分で進出して自分で作って自分で売る
(あるいは自分で進出して、日本で生産したものを現地で販売する)

という、3つのオプションがあり得ます。アとイの場合、FDIは必要ない
ですから、ウの場合のみ、FDIを行うことになります。

つまり、③の内部化のメリットというのは、アやイのような貿易、
あるいは契約を結んで行う取引形態よりも、ウのような自ら組織を立ち上げ、
運営する、という形態の方が経営的に優れている、ということを意味します。

トヨタの例の場合、アやイだと現地の取引先に技術やブランドを良いように
使われてしまうリスクをコントロールしきれない、そもそもそういうことを
任せるに足るパートナーを今の中国で見つけることが容易ではない、
といった理由から、ウのコストをかけてでも、リターンは大きいと
考えられます。

このように、③の議論は、強みの源泉の性質(主として無形資産か
有形資産か - 無形資産の方が管理がしにくい)と、法制度(契約の履行の
徹底のしやすさ、知的所有権保護のレベル - 低いとリスクが高まる)、
さらには、産業の成熟度(信頼に足るパートナーを見つけられるか)
といった要素が影響しています。

例えば、コカコーラの場合は、ボトリングの部分は特に競争優位の源泉でも
ないため、現地企業に完全に委託してしまっています(上記イのパターン)
が、ブランドの管理や商品開発は 現地法人をつくって内部化(上記ウ)、
さらに、コーラのもととなる原液は本国から輸出することで秘密の
漏洩リスクを最低限に押さえる(上記ア)というミックスになっています。

何が強みの源泉で、リスクを最低限に抑えて最大限の収益を確保するには
どうするか、という点で、非常に合理的に見えます。


さらに、ウを選んだ際に、自前で作るのか、買収するのか、ジョイント
ベンチャーにするのか、といった点が次の意思決定のポイントになりますが、
ここでも上記のような社会制度の未熟さによるリスクの程度が影響します。

例えば、金融市場が成熟していない国では、買収価格の判断材料が少ない
等の点で買収のリスクが高まりますし、政治的リスクが高い国では、
現地のコネクションを手に入れるとともに、投資規模を押さえるという点
でジョイントベンチャーの魅力が高まります。

さらに、別の観点として、 現地の市場を攻略するために、自前のケイパビリティ
やリソースで十分なのか、ローカル市場に対するナレッジや流通網、
ブランドなど、自前で持っていないものを手に入れる必要があるのかといった
要素が絡んできます。また、研究からは、企業側の多様化の度合いや
国際経営の経験、さらには文化的な距離といった要素も進出形態の
意思決定に影響する、という結果が出ているようです。


以上、ざっくりとまとめると、「自前の強みの特徴」「参入する国の
制度的な枠組みの成熟度合い」「参入する国で手に入る資源」がFDIの有り様を
決定する、というのがポイントになります。ですから、Resource Based View
(資源ベースの戦略論),new Institutional economics(新制度経済学),
transaction cost theory(取引費用理論)と言ったあたりが、
関連する研究分野になりますね。
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